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風俗営業の広告規制 — 看板・ビラ・SNSで何がOK?何がNG?

ナイトビジネスラボ編集部

夜の街のネオンサインと広告

「新しいSNSで集客したいけど、どこまで書いていいのか不安…」
「お店の看板、これで本当に大丈夫?警察に指摘されたらどうしよう…」
「昔ながらのビラ配り、今もやってるけど、これって違法じゃないの?」
「競合店が派手な広告を出してるけど、あれって許されてるの?」

ナイトビジネスを経営する皆さんにとって、お店の存在をアピールする広告はとても大切です。 特に最近は、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを使った集客が主流になりつつあります。 しかし、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(通称:風営法)には、広告や宣伝に関する厳しいルールがあることをご存知でしょうか?

「インターネットなら自由でしょ?」と思われがちですが、実はそうではありません。 法律を知らずに広告を出してしまうと、罰金や営業停止、最悪の場合は許可取り消しといった重いペナルティを受ける可能性があります。

この記事では、風営法で定められている広告規制について、専門用語を使わず、中学生でもわかる言葉で徹底解説します。 看板、ビラ、そしてSNSやWebサイトまで、何がOKで何がNGなのか、具体的な例を交えながら見ていきましょう。

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この記事はこんな人向け
・キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバー、スナックなどを経営している
・SNSでの集客に力を入れているが、法律面が不安
・お店の看板やビラの内容が法律に触れないか確認したい
・スタッフに広告規制について正しく説明したい
・風営法の広告規制について、改めて基本を知りたい

法律ではこう書いてある — 風営法 第16条

まず、風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の第16条を見てみましょう。 ここに、風俗営業者が守るべき広告・宣伝に関するルールが書かれています。

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風営法 第16条(広告及び宣伝の規制)[1]
  1. 風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない。
  2. 風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。
  3. 風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時以後の時間において立ち入つてはならない旨(第二十二条第二項の規定に基づく都道府県の条例で、午前六時後午後十時前の時間における十八歳未満の者の立入りの禁止又は制限を定めたときは、午後十時以後の時間において立ち入つてはならない旨及び当該禁止又は制限の内容))を営業所の入口に表示しなければならない。
  4. 接待飲食等営業を営む風俗営業者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
    1. 営業所で客に接する業務に従事する者(以下「接客従業者」という。)に対し、接客従業者でなくなつた場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務(利息制限法(昭和二十九年法律第百号)その他の法令の規定によりその全部又は一部が無効とされるものを含む。以下同じ。)を負担させること。
    2. その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させた接客従業者の旅券等(出入国管理及び難民認定法第二条第五号の旅券、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項の運転免許証その他求人者が求職者の本人確認のため通常提示を求める書類として政令で定めるものをいう。以下同じ。)を保管し、又は第三者に保管させること。

この条文で特に重要なのが、1項の「営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない」という部分です。 ここが、皆さんの広告活動を制限する基本的なルールになります。

2項と3項は、お店の料金表示や、18歳未満の立ち入り禁止表示に関する義務です。これらも広告規制の一部として非常に重要なので、後ほど詳しく解説します。

なお、4項は広告規制とは少し異なり、従業員(キャスト)との契約や債務に関するルールです。今回は広告規制に焦点を当てるため、この部分の詳しい解説は割愛します。

「清浄な風俗環境を害するおそれ」って具体的に何?

「清浄な風俗環境を害するおそれ」という言葉は少し難しく感じますよね。 これは、簡単に言うと「健全な街の雰囲気や、子どもたちの教育に悪い影響を与えるような広告はダメですよ」という意味です。

警察庁が出している「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」[2]という通達(警察官が法律をどう解釈して運用するかを示した文書)では、 具体的に以下のような広告がNGとされています。

NGな広告の例理由(清浄な風俗環境を害するおそれがあるため)
過度な性的表現
(例:性的なイラスト、過度に露出した写真、性的な言葉)
公序良俗に反し、子どもたちの目に触れると教育上好ましくないため。
未成年者への誘引
(例:「未成年歓迎」を匂わせる表現、未成年が興味を持つようなイラストや言葉)
未成年者の健全な育成を妨げるため。
誇大広告・虚偽広告
(例:実際と異なるサービス内容、過剰な割引表示、根拠のない「日本一」などの表現)
お客さんを騙す行為であり、健全な商取引を妨げるため。
客引きを誘発する表現
(例:「今すぐ入店!」と強く促す、道行く人に直接呼びかけるような表現)
迷惑行為につながり、街の治安や雰囲気を悪くするため。
公序良俗に反する表現
(例:暴力的な表現、差別的な言葉、反社会的な内容)
社会の秩序や倫理に反するため。

これらの基準は、看板やビラだけでなく、SNSやWebサイトなど、あらゆる広告媒体に適用されます。 「誰でも見られる場所」に出す広告は、特に注意が必要です。

看板・屋外広告のNGライン

お店の顔となる看板や、街中で見かける屋外広告にも、もちろん規制があります。 風営法だけでなく、屋外広告物法[3]や、各都道府県・市区町村の条例[4]も関わってくるため、より複雑です。

良い点

  • お店の名称、電話番号、住所など、基本的な情報のみを表示
  • 業態がわかる程度のシンプルなロゴやイラスト
  • 営業時間や料金体系を明確に表示
  • 上品で落ち着いたデザイン

課題

  • 過度に露出した女性のイラストや写真
  • 性的な言葉や、性行為を連想させる表現
  • 未成年者の入店を誘うような表現
  • 「今すぐ入店!」など、客引きを強く促す文言
  • 点滅が激しい、過剰に明るいもの
  • 許可なく設置されたもの(屋外広告物法・条例違反)
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特に注意!自治体の条例
屋外広告物に関するルールは、都道府県や市区町村によってかなり異なります。 例えば、学校や病院の近くでは特定の広告が禁止されたり、サイズや色に制限があったりします。 看板を設置する際は、必ずお店がある地域の自治体に確認しましょう。

ビラ・チラシ配りの落とし穴

昔ながらの集客方法であるビラ配りやポスティングも、風営法の広告規制の対象です。 さらに、迷惑防止条例など、別の法律や条例にも注意が必要です。

ビラ・チラシ配りの注意点詳細
配布場所の規制・駅前や繁華街でのビラ配りは、客引き行為とみなされる可能性があります。
・特に、学校や病院、公園の周辺など、子どもや家族連れが多い場所での配布は厳しく規制されます。
内容の規制・看板と同様に、性的表現や未成年者への誘引、誇大広告はNGです。
・手に取った人が不快に感じるような内容は避けましょう。
ポスティングの注意・「チラシお断り」の表示があるポストへの投函は、住居侵入罪や軽犯罪法違反になる可能性があります。
・集合住宅への無差別なポスティングも、迷惑行為として問題視されることがあります。

ビラ配りは、一歩間違えると客引き行為と判断され、風営法違反や迷惑防止条例違反で逮捕されるケースもあります。 特に、キャストが直接路上でビラを配ったり、声をかけたりする行為は非常に危険です。 基本的には、お店の情報を伝えるだけのシンプルな内容にとどめ、配布場所や方法には細心の注意を払いましょう。

SNS・Webサイト集客の注意点

現代の集客の主役ともいえるSNSやWebサイト。 「インターネット上なら自由」と思われがちですが、風営法の広告規制は、オンラインの広告にも適用されます。特に、誰でも閲覧できるSNSは、その影響力の大きさから、より慎重な対応が求められます。

良い点

  • お店の雰囲気や内装がわかる写真(健全な範囲で)
  • イベント情報やキャンペーンのお知らせ
  • 料金体系の明確な表示
  • キャストの紹介(顔写真、趣味、メッセージなど品位を保った内容)
  • 求人情報
  • お店の公式アカウントであることが明確な表示

課題

  • 過度に露出したキャストの写真や動画
  • 性的な言葉や、性行為を連想させる表現
  • 未成年者が興味を持つようなキャラクターやデザインの使用
  • 「未成年歓迎」「年齢不問」など未成年者の入店を誘う表現
  • 誇大広告や虚偽広告
  • 「今すぐDM!」など客引きを強く促す表現
  • 他の店舗を誹謗中傷する内容
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SNSは「誰でも見られる場所」
SNSは、アカウントをフォローしていない人や、未成年者でも簡単に閲覧できます。 そのため、「営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれ」という基準が、オンライン上でも厳しく適用されるのです。 「鍵アカウントだから大丈夫」という考えも危険です。一度公開された情報は、簡単に拡散されてしまいます。

SNSでのキャストの紹介も、どこまでがOKでどこからがNGなのか悩むところでしょう。 基本的には、「品位を保ち、健全な範囲での紹介」が原則です。 過度な露出や性的なアピールは避け、あくまで「お店の雰囲気やキャストの人柄を伝える」という目的を意識しましょう。

忘れちゃいけない!料金表示と年齢表示の義務

風営法第16条には、広告規制とは別に、お店の料金表示年齢表示に関する義務も定められています。 これらは、お客さんが安心して利用できるように、そして未成年者を守るために非常に重要なルールです。

料金表示の義務

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風営法 第16条第2項[1]風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その営業に係る料金で国家公安委員会規則で定める種類のものを、営業所において客に見やすいように表示しなければならない。

お店で提供するサービスや料金は、お客さんが「見やすいように」表示する義務があります。 これは、料金トラブルを防ぐためです。

表示すべき内容表示場所の例
・サービス内容(例:セット料金、時間制料金)
・基本料金
・指名料、延長料
・ドリンク代、フード代
・サービス料、消費税
・店内の目立つ場所(入口付近、カウンター、テーブル)
・メニュー表
・WebサイトやSNS(ただし、店内表示は必須)

料金は、誰が見ても一目でわかるように、明確に表示しましょう。 「別途サービス料」など、わかりにくい表現は避け、総額がいくらになるのかが明確に伝わるように工夫することが大切です。

年齢表示の義務

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風営法 第16条第3項[1]風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨(…)を営業所の入口に表示しなければならない。

風俗営業のお店は、18歳未満の人の立ち入りを禁止しています。 このことを、お店の入口に「見やすいように」表示する義務があります。 これは、未成年者を風俗営業から守るための重要なルールです。

表示は、年齢制限だけでなく、「身分証明書の提示をお願いする場合があります」といった注意書きも加えることで、より効果的になります。

広告規制に違反したらどうなる?

風営法の広告規制に違反した場合、以下のような厳しい罰則や行政処分が科せられます。 「知らなかった」では済まされないため、しっかりと理解しておくことが重要です。

懲役

最大2年

罰金

最大200万円

営業停止

数日〜数ヶ月

許可取り消し

最悪の場合

罰則は、風営法第49条に定められています[1]。 広告規制違反は、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされており、非常に重い罪です。 法人(会社)の場合は、その責任者だけでなく、法人自体にも「200万円以下の罰金」が科せられることがあります。

また、警察から行政指導を受けたり、営業停止処分や、悪質な場合は風俗営業の許可取り消しといった行政処分が下されることもあります。 一度許可が取り消されると、しばらくの間は同じ場所で風俗営業を行うことができなくなります。

さらに、法律違反はお店の信用を大きく失墜させます。 お客さんからの信頼を失い、従業員の士気も低下するなど、経営に深刻なダメージを与えることになります。

よくある質問

Q1: SNSでキャストの写真を載せるのはどこまでOKですか?

A: キャストの顔写真や、お店の雰囲気がわかる写真であれば問題ありません。 ただし、過度に露出した写真や、性的なポーズ、性的な言葉を添えるのはNGです。 あくまで「品位を保ち、健全な範囲」での紹介を心がけましょう。 未成年者が閲覧しても不快に感じないか、という視点が重要です。

Q2: 料金はWebサイトに載せればいいですか?店内の表示も必要ですか?

A: WebサイトやSNSに料金を載せるのは良いことですが、風営法では「営業所において客に見やすいように表示しなければならない」と明確に定められています[1]。 そのため、必ず店内の目立つ場所にも、サービス内容と料金を明確に表示する必要があります。

Q3: ビラ配りは完全にNGなのでしょうか?

A: 一概に「完全にNG」ではありませんが、非常にリスクが高い行為です。 特に、路上での直接的な配布は、客引き行為とみなされる可能性が高く、風営法や迷惑防止条例に抵触する恐れがあります。 内容も「清浄な風俗環境を害するおそれ」がないか厳しくチェックされます。 リスクを避けるためには、ビラ配り以外の集客方法を検討することをおすすめします。

Q4: 「清浄な風俗環境を害するおそれ」って、具体的な判断基準はありますか?

A: 警察庁の解釈運用基準[2]では、過度な性的表現、未成年者への誘引、誇大広告、客引きを誘発する表現などが具体例として挙げられています。 最終的には、広告の内容、表示されている場所、周辺の環境などを総合的に判断されます。 「子どもが見ても大丈夫か」「街の雰囲気を壊さないか」という視点で考えるのが良いでしょう。

Q5: 広告規制に違反してしまった場合、どうすればいいですか?

A: もし違反を指摘されたり、不安な点がある場合は、速やかに広告の内容を修正・撤去し、専門家(行政書士や弁護士)に相談することをおすすめします。 自己判断で放置せず、適切な対応を取ることが、さらなるペナルティを防ぐ上で非常に重要です。

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